こんにちは、バーナビーを拠点に活動している不動産エージェントの永岡玲央です。Greater Vancouver Realtors(GVR)が11月2日に2026年10月の市場統計を発表しました。10月のメトロバンクーバーの住宅販売件数は2,024件で、前年同月比-10.2%、過去10年の10月平均を22.5%下回りました。総合ベンチマーク価格は$1,068,600(前月比-0.7%、前年比-5.2%)です。利上げと州の解散総選挙が重なり、買い手も売り手も「いったん様子見」をした1か月でした。
押さえたい3つのポイント
販売は前年割れ、ただし9月よりは増加:前年同月比では-10.2%ですが、9月と比べると戸建て(デタッチド)+12.0%、タウンハウスなどアタッチド+30.7%、マンション(コンドミニアム)+14.8%と、すべてのタイプで件数が増えています。
在庫は多いまま:売り出し中の物件は15,688件。前年比では-4.3%と少し減ったものの、10年平均を24%上回る高い水準です。新規売り出しは4,805件(前年比-11.6%、10年平均比+1%)でした。
価格はじわじわ下落が継続:総合ベンチマークは前年比-5.2%。全タイプで前月比もマイナスとなり、買い手優位の流れが続いています。
価格の現在地
GVRのベンチマーク価格(その地域の「典型的な物件」の推定価格)をタイプ別に見ると、次のとおりです。
総合:$1,068,600(前月比-0.7%/前年比-5.2%)
戸建て:$1,775,200(前月比-0.5%/前年比-7.0%)
タウンハウス:$1,006,500(前月比-1.0%/前年比-5.5%)
マンション(コンドミニアム):$673,400(前月比-1.3%/前年比-5.9%)
販売件数をタイプ別に見ると、一軒家643件(前年比-7.2%)、アタッチド468件(同-1.9%)、マンション892件(同-16.7%)。特にマンションの落ち込みが目立ちました。
市場の強さを測る目安が「販売在庫比率(SAR)」です。これは1か月の販売件数÷売り出し中の在庫数で、GVRの分析では12%を下回る状態が続くと価格に下落圧力、20%を超える状態が数か月続くと上昇圧力がかかりやすいとされています。10月は全体で13.4%(一軒家11.6%、アタッチド16.5%、マンション13.5%)。全体ではバランス圏の下のほうですが、一軒家は12%を切っており、価格交渉の余地が出やすい状況です。
エリア別:バーナビー・バンクーバー・リッチモンド・ノースショアほか
ここではバンクーバー周辺の主要エリアをまとめます(総合ベンチマーク価格と前年比)。
バーナビー・ノース:$875,000(-5.8%)
バーナビー・サウス:$975,400(-6.1%)
バーナビー・イースト:$972,500(-7.1%)
バンクーバー・ウエスト:$1,196,600(-4.5%)
バンクーバー・イースト:$1,121,600(-4.4%)
リッチモンド:$998,300(-8.3%)
ノースバンクーバー:$1,281,400(-2.7%)
ウエストバンクーバー:$2,299,200(-3.5%、前月比は+2.4%)
コキットラム:$957,500(-7.1%)
ニューウエストミンスター:$707,200(-8.8%)
ポートムーディ:$995,800(-6.6%)
ノースショアやバンクーバー市内は下落幅が比較的小さく、リッチモンドやニューウエストミンスター、コキットラムはやや大きめです。タイプ別で見ても差があり、たとえばリッチモンドの一軒家は前年比-11.1%、バンクーバー・ウエストの一軒家は-9.0%でした。一方、バンクーバー・イーストのタウンハウスは前年比+0.4%とほぼ横ばいです。同じ「バンクーバー」でも、エリアとタイプで状況はかなり違います。
金利と選挙:10月に何が起きたか
10月28日、カナダ銀行(Bank of Canada)が政策金利を0.25%引き上げ、2.50%としました。2025年10月以来の変更で、市場にとってはやや意外な利上げでした。
GVRのチーフエコノミスト、アンドリュー・リス氏は、この予想外の利上げに加え、BC州の解散総選挙や市議会選挙の報道、住宅ローン金利の先行き不透明感が重なり、市場参加者が「一歩下がって立て直した」と説明しています。また、金利据え置き(レートホールド)の期限が近い買い手が動き出す可能性にも触れつつ、年内の価格下落で得た購入しやすさが借入コストの上昇で相殺されるジレンマを指摘しました。同氏は2026年を「一歩進んで、一歩下がる」年だと表現しています。
いま何をする?
買い手の方
在庫が10年平均より24%多く、戸建てのSARは12%を下回っています。物件を比較検討しやすく、条件交渉もしやすい時期です。一方で金利は上向きに転じたため、まずはローンの事前承認(プレアプルーバル)と金利ホールドを確保し、予算の上限を明確にしてから動くのがおすすめです。
売り手の方
競合物件が多いため、「強気の価格で様子を見る」作戦は長期化しやすい状況です。エリアとタイプごとの直近の動きを踏まえた価格設定と、写真・ステージングなど第一印象の準備が結果を左右します。冬に入る前に、相場感だけでも確認しておくと安心です。
投資家・帰国予定の方
マンションは販売件数が前年比-16.7%と動きが鈍く、売却には時間がかかる可能性があります。帰国や転勤の予定がある方は、売却か賃貸に出すかを早めに比較しておきましょう。非居住者になる場合の税金や、賃貸収入の申告などは事前に専門家への確認が必要です。
まとめ
2026年10月のバンクーバー周辺の不動産市場は、販売件数が前年比-10.2%、総合ベンチマーク価格が前年比-5.2%と、落ち着いた買い手優位の状態が続きました。9月からは販売件数が持ち直したものの、利上げで先行きはまだ読みにくい状況です。エリアとタイプによって差が大きいので、全体の数字だけでなく、ご自身が関心のあるエリアの動きを見て判断することが大切です。
出典:Greater Vancouver Realtors「October 2026 Market Statistics」(2026年11月2日発表)、Bank of Canada
※本記事の数値は発表時点のGVRのデータに基づきます。税金や住宅ローンに関するご判断は、会計士・税理士やモーゲージの専門家にご相談ください。
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