―「20年以上で最も静かな年」が教えてくれる、次のチャンス
2025年のメトロバンクーバー不動産市場は、ひと言で表すなら「静かな一年」でした。
しかし、それは決して“何も起きなかった年”ではありません。むしろ、これから市場に関わる人にとって重要なヒントが数多く詰まった1年だったと言えます。
Greater Vancouver REALTORS®(GVR)が発表した最新レポートをもとに、2025年の市場をやさしく、立体的に読み解いていきましょう。
■ 売買件数は「20年以上で最低水準」
まず最も象徴的なのが、年間の売買件数です。
2025年のメトロバンクーバー全体の住宅売買件数は 23,800件。
これは前年比で -10.4%、さらに過去20年以上で最も少ない水準となりました。
加えて、この数字は過去10年平均(約31,600件)と比べても 約25%も下回る結果です。
「歴史に残る一年だった」
—— GVR チーフエコノミスト Andrew Lis 氏
市場は確かに冷え込んでいました。
■ でも「売り手」は動いていた —— 過去最多クラスの新規リスティング
一方で、意外な事実があります。
2025年にMLSに登録された物件数は 65,335件。
これは前年比 +8.2%、1990年代半ば以降で最多水準です。
つまり、
買い手は慎重
でも売り手は積極的に物件を市場へ出していた
という、少し歪んだバランスが生まれていました。
その結果、在庫は積み上がり、2025年12月時点のアクティブリスティングは 12,550件。
10年平均を 約35%も上回る水準です。
■ 価格はどうなった?—— 全体的に「じわりと調整」
価格も例外ではありません。
▶ メトロバンクーバー全体(HPIベンチマーク)
$1,114,800
前年比 -4.5%
前月比 -0.8%
物件タイプ別に見ると:
戸建て:約 -5.3%
タウンハウス:約 -5.0%
コンドミニアム:約 -5.3%
どのタイプも大きな暴落ではなく、時間をかけた調整局面という印象です。
■ 市場の温度を測る「SAR」が示すもの
不動産市場を読み解く上で重要なのが
Sales-to-Active Listings Ratio(SAR) です。
2025年12月のSARは:
全体:12.7%
戸建て:9.3%
タウンハウス:14.6%
コンドミニアム:15.1%
一般的に、
12%以下が続くと価格下落圧力
20%超で価格上昇圧力
とされます。
つまり今は、
👉 売り手市場でもなく、買い手がかなり有利なバランス市場
という位置づけです。
■ 2025年後半から見え始めた「変化の兆し」
レポートの中で注目すべきは、先行きへのコメントです。
2025年前半は米国との貿易摩擦などが市場心理を冷やしましたが、
年後半にかけては消費者心理がやや改善。
さらに、
住宅価格の調整
借入金利が 約1%近く低下
選択肢の多い在庫環境
これらが揃い、2026年は買い手にとってかなり整ったスタートラインに立っていることが示唆されています。
■ この市場から何を学ぶべきか?
2025年の市場は、「買うべき年」「売るべき年」と単純に言い切れるものではありません。
むしろ大切なのは:
情報を持っている人ほど有利
焦らない人ほど選択肢が広がる
準備ができている人だけがチャンスを掴める
という、非常に“リアル”な教訓です。
■ まとめ:静かな市場は、チャンスの前触れ
2025年は数字だけを見ると「低調な年」でした。
しかし、その裏側では市場の土台が整い、次の動きに向けたエネルギーが溜まっているようにも見えます。
2026年、そしてその先を考える上で、2025年は「見過ごしてはいけない一年」だったと言えるでしょう。
※本記事は Greater Vancouver REALTORS® が発表した2025年12月市場統計レポートをもとに作成しています。