秋のマーケットは「バイヤー優位」
2025年9月、メトロ・バンクーバーの住宅販売は 1,875件。前年同月(1,852件)からはわずかに 1.2%増加しましたが、過去10年の季節平均(2,348件)よりは20.1%下回る水準にとどまっています。
「政策金利の追加利下げがあり、年内にもう一度の利下げを市場が織り込んでいる。価格の軟化、在庫の増加、そして借入コストの低下が、今秋の購入希望者にとって大きなチャンスを生んでいる」
と、GVR(Greater Vancouver REALTORS®)の経済・データ分析ディレクター Andrew Lis 氏はコメントしています。
在庫は10年平均を大幅に超過
9月の新規登録物件数は 6,527件(前年同月比 +6.2%、10年平均比 +20.1%)。
MLS® 上に現在掲載されている総在庫は 17,079件で、前年同月比で +14.4%、10年平均よりも +36.1%。
つまり、物件を探す選択肢はこの10年で最も豊富といえる状況です。
需給バランス:価格に下押し圧力
9月の「販売件数/アクティブ在庫比率(sales-to-active listings ratio)」は 11.3%。
戸建て:8.5%
タウンハウス:12.7%
アパート:13.3%
過去データでは、この比率が12%を下回ると価格は下落圧力、20%を超えて数か月続くと上昇圧力がかかる傾向があります。現在の水準は、まさに「価格が軟化しやすい」領域にあります。
価格動向(ベンチマーク価格)
総合(全住宅種別):$1,142,100
前年比 −3.2%
前月比 −0.7%
戸建て(detached)
販売:552件(前年同月比 +7%)
価格:$1,933,100(前年比 −4.4%、前月比 −0.9%)
アパート(apartment)
販売:954件(前年同月比 +1.5%)
価格:$728,800(前年比 −4.4%、前月比 −0.8%)
タウンハウス(attached)
販売:356件(前年同月比 −5.8%)
価格:$1,069,800(前年比 −2.7%、前月比 −0.9%)
まとめ:買い手にとっての「今」
ここ数年、金利上昇や政治・政策の揺れ、そして米国との通商摩擦など、住宅市場は荒波にさらされてきました。Lis氏が言うように、その「急性期のショック」は一段落し、市場は安定に向かいつつあります。
在庫は豊富(10年平均を大きく超える)
価格は下落圧力(sales-to-active ratioは11.3%)
借入コストは低下基調(政策金利の追加利下げ)
つまり、今の市場は明らかに「買い手に優位」な環境です。
これからのアクション
購入希望者は、選び放題の今こそ“準備力”で差をつける。
在庫が豊富で交渉の余地がある今はチャンスですが、同時にスピードと信頼性も大切です。
しっかりとデューデリジェンス(市場・物件調査)を行い、モーゲージの事前承認(pre-approval)を取得しておくことで、オファー時に他の買い手よりも優位に立てます。
スローなマーケットの中で“抜きん出る買い手”になることが、良い条件で理想の物件を手に入れる鍵です。
投資家は、短期的な価格調整を見据え、冷静に仕込みのタイミングを探る。
過剰反応せず、長期の需要構造と立地の強さを見極めて行動を。
売り手は、価格戦略を柔軟に。
強気一辺倒では買い手が動かない市場。
市場データに基づき、現実的な価格設定と見せ方の最適化が成功のポイントです。
👉結論:2025年秋のバンクーバー市場は「待ち」ではなく「動く」タイミング。市場が底値を探る今こそ、データを冷静に読み解いて、次の上昇局面に備えることが鍵です。